脱成長の電脳1

長文を放流する電脳の墓場 アニメの感想とか 

正月なのでフォロワーがギリギリ観てなさそうなAmazonPrimeVideoの推せるアニメを5つ紹介する(ネタバレなし)

 お正月ですね。いつもより時間にも気持ちにも余裕ができた今が、まだ観ていないアニメを消化するチャンスではないでしょうか。ただ漫然と寝て過ごすのもいいですが、ひと作品観て感情を動かされた後で寝た方が睡眠の質も上がるというものです。往々にして、思っているほど正月は時間がありません。浮かれ気分の今観られないなら休みが明けても何も観られないでしょう。そうして我々はアニメも観なくなってオタク話も碌にできない、生活に大した情熱もない、休みにスマホを眺めているだけのつまらない奴に成り下がり老いてゆくわけだ。それでは寂しすぎる。オタクはアニメを観ろ。

※タイトル通りの短い記事です。四畳半神話大系やピンポン、Fate/Zeroなんかは全員観てると思っているので入れてません。

 

1.UN-GO

 「敗戦後」の近未来を舞台に、主人公の探偵が相棒と力を合わせて事件を解明しようとする探偵もの(といえばそう)。しかし「真実はいつもひとつ!」などと単純な話ではなく、むしろ「真実」なるものの本質を問うメタ的な構造がこの作品の特徴だといえるでしょう。『鋼の錬金術師』などで知られる脚本・會川昇による、メディアが大きな力をもつ現代そして歴史の多義性を見通すこの作品の視点が好きです。SF的な要素と呪術的な要素が奇妙に混ざりあう退廃的でスタイリッシュな世界観も格好いい。相棒の謎の生物・因果を演じる豊崎愛生の演技力にも注目してほしいところ。タイトルは坂口安吾の小説を原案にしていることからのトリプル(?)ミーニング。それなりに好き嫌いは分かれそうな作品だけどせめて4話からの風守の話までは観てほしいですね。

 

2.Zガンダム

 ガンダムシリーズの二作目にして、富野由悠季イズムを語る上で恐らくファースト以上に外せない作品。Zに関しては劇場三部作が本当に駄作なので、全50話と長いですがぜひTVシリーズ版で追ってほしいです。前作において「味方」側だった連邦軍が敵に回りガンダムが真っ黒にカラーリングされるという衝撃に始まり、大人になったアムロらかつてのヒーローたちの葛藤、強化人間、たくさんの人の死、第三勢力の介入などなど、人の業を煮詰めたような暗い展開が続きます。それがこの作品を特に印象深くしているのですが、ガンダムシリーズ中最強のニュータイプとされる主人公・カミーユがいかに立ち向かうか……というところに富野監督が懸けた未来への希望のようなものが感じ取れます。登場メカは全体的に前作より線がシャープになりました。悪役顔といわれた主人公機・Zガンダムの尖った感じが本当に好き。

 

3.四月は君の嘘

 ピアニストの少年と周囲の人々の彷徨を描く青春群像劇。『響け!ユーフォニアム』など音楽を扱ったアニメもなかなか増えてきた感がありますが、この作品はとにかく演出が上手い。奏者の奏でる音楽には、楽曲のもつ世界観にくわえて奏者自身の感情や精神性が込められているわけで、その生き物のような流動性を巧みにビジュアルに落とし込んだという点でこれを超える作品はないでしょう。あとは登場人物全てに対して尺をたっぷり使って非常に丁寧に心理を描き切っている点もとても好きです。やや人を選ぶとすればギャグシーンの漫画っぽい表現くらいでしょうか。

 

4.ガヴリールドロップアウト

 動画工房お得意の美少女日常系アニメ。ギャグを挟みながら毎話さほど凹凸のない話が続くいつものアレですが、「ゆるゆり」を手掛けた太田雅彦監督だけあってこの作品は特に会話のテンポが小気味よいと感じます。お話としては、天使や悪魔の主人公たちが人間社会に馴染んでいく過程で、「常識」で済まされる部分が少なく毎回新しい発見があったりよくあるネタの焼き直しが少なかったりすることもあり飽きがこないです。ガヴリールがかわいい。多分類似の作品のなかでこれが好きなのは4人の中でガヴリールという輪の外側への引力が常に働いている構図が気に入ってるからだと思う。

 

5.C

 カネが支配する異世界・「金融街」へと招かれた大学生が、未来を担保にした決闘「ディール」に巻き込まれてゆく話。敗北者には文字通りの破滅が待っている緊張感のなか、疑似的なパートナーである「アセット」と共にカネを強さに代えて戦うバトルシーンは本当に見せ方が上手くてワクワクします。破産寸前のスリル、カネを持つ者の強者としての振る舞い、数多くの人間を犠牲にして輝きを増す「金融街」の美しさ。そうしたカネの持つ光と闇を実にスタイリッシュに描いてみせたこの世界観が大好き。毎回現代社会においてカネとは何か?という問いに対して様々な回答が出てきて考えさせられます。現代社会の問題に作品を直に接続しようとする試み、中村健治監督は「ガッチャマンクラウズ」でもやってましたね。その辺りの議論はやや尻すぼみ感があったり、後半は駆け足になりがちだったりもするのですが、そういう不完全さというか青臭さみたいな部分も正直割と好きです。

 

入れようか迷ったのは『プリンセス・プリンシパル』『新世界より』とか。わりと見放題作品は年代が偏ってるんだよなあ。

これ何か参考になるんかな? とりあえずよいお正月を。